古くから受け継がれる伝統の景観を守って
山の斜面に幾重にも連なる丸山千枚田。『日本の棚田百選』にも選ばれる美しい光景のなか、現在大小1340枚の田んぼがあります。この地に棚田ができたのはいつ頃のことかはっきりしていませんが、西暦1601(慶長6)年にはすでに2240枚の田んぼがあったと記されています。時代は流れ、過疎や高齢化による耕作放棄地の増加により平成のはじめまでにその数は530枚まで激減。「このままでは、昔から受け継いできた美しい景観と文化が失われてしまう」と危機感を持った地元の人たちが同会を設立し、丸山千枚田の保全のため、稲作に不可欠な水の管理はもちろん、草取りや石垣の補修、畔や斜面の整備など、日々の作業を保存会の会員が担っています。市も全国初となる「千枚田条例」を制定し、1996年からのオーナー制度では、地元だけでなく都市の人も一緒に千枚田保全に携わっています。また、その美しい風景だけでなく伝統的農耕行事『丸山千枚田の虫おくり』など全国各地からの観光客を魅了する、県下有数の観光資産となっています。「景観をそのまま残すのではなく、もっとたくさんの人に地元の魅力を知ってほしい。そして、若い人と一緒に作業できる場所にしたい」。喜田会長の思いは、次の世代に受け継がれています。
丸山千枚田保存会の皆さん
大小1340枚の棚田が織りなす美しい景観
地元の小学生やオーナーが集まって田植え
実りの秋。稲刈りにも大勢の人が結集
棚田オーナー百数十組との交流も盛ん
田植え前に畦を整備する保存会のメンバー
棚田に欠かせない石垣の整備
水の管理など、日々の作業を保存会のメンバーが担っています
案山子づくり教室でさらに活性化も
5代目となる喜田会長
三重県熊野市紀和町丸山千枚田保存会